保護者の皆様に配布している『2020年2月のガラパコラム』をこちらにも掲載いたします
ご褒美という安直な方法で勉強・学習をさせようとするときの落とし穴に関して、ぜひご覧ください
子育てや教育の知識もなく、明確な意図もないままだと、誤った手法でお子様を育ててしまう可能性があります。この手法は最もダメと感じるのはごほうび、つまり、報酬を与える手法(あえて「与え方」と表記しています)です。報酬の与え方を的確にできないとその報酬はほぼ無意味になります。報酬が無駄になるだけならまだましなのですが、実際にはもっとひどい悪循環になっていることが多いです。
私が中学1、2年のとき、1時間勉強をしたら、30分ゲームをしてもいいという報酬を与えられていました。この報酬の与え方は完全に間違っています。また、高校に合格したら予算の範囲内でひとつ好きなものを買ってよいという報酬がありました。こちらの報酬の与え方はまだましです。
前者と後者の違いは、『結果』に対して報酬を与えているのかどうかです。この違いは本当に大きな差となります。
勉強を1時間しても成績が伸びない可能性はあります。それでも私は報酬が貰えました。こんな報酬を与えてもなんの結果もでませんでした。当然です。当時の私の頭には「成績をあげる」という目的は一切ありませんでした。『最終目標』はゲームをすることだったからです。勉強するフリを何時間したかわかりません。それでも報酬は貰えるからです。そして、勉強している(ふりをしている)たった1時間で何度時計を見ていたかわかりません。効果のある勉強をすることよりも、成績をあげることよりも、60分経つことが重要だったからです。つまり、結果を出したのではなく、結果を出すことにつながる(かもしれない)行動だけで報酬を与えるのは間違っています。保護者の方々としては「結果を出すこと」が目的なのに、ほとんどの子どもたちは「報酬がもらえること」を目的にします。
以前もこのコラムで書きましたが、サッカーでシュート100本打つ、野球でボールを100回投げる、など数さえこなせば終わりという練習も間違っていますし、それに対して報酬を与えるのは大間違いです。サッカーで右隅にシュートを打ち、『ゴールを20点決める』、野球でアウトコース低めに納得できる球で『ストライクを20回とる』など、できるだけ具体的な内容まで決めて練習しているひとに勝てません。目的意識を持っているのかどうかが成長に大きく影響するのです。
漢字を10回書くような宿題もムダだらけです。漢字を覚えることを目的にせず、短い時間で多くの漢字を書くことを目的にしてしまい、汚い字で書くのが目に見えています。ですから、覚えることを目的としていることがわかるような、意図を明確にした宿題にしなければいけません。『漢字を覚えるまで好きなだけ書きなさい』が正しい宿題です。これならば、覚えている漢字は書く必要はないので無駄な時間も省けます。ただ私ならば「覚えている漢字がならば、何度も書く必要はないのが、きれいに書けるように練習しなさい」と付け加えると思います。かつてある高校で英単語を20回書きなさいというプリントを課題と出していたので「こんなムダな作業となるだけの内容のない課題を出すな!」と学校にクレームしてやろうかと思ったこともあります(笑)
もし、保護者の方々でお子様と報酬を与えるような約束があるのでしたら、その約束を見直してみてください。目的を確認し、意図を明確にし、結果に対して報酬を与えてください。
さて、報酬を「与える」というあまりいい印象を与えない表現にこだわって書いてきたのかをご説明します。たとえ、結果に対して報酬を与えるスタイルだとしても、その手法では人間を育てないが私の教育理念です。報酬は人間ではなく動物を育てるための手法です。これは結果→報酬の順がいつしか、報酬があるから行動し、結果を出すというように順序が逆転します。このような形になっているように感じるのは動物のショーです。イルカショー、アシカショー、さるまわし、犬の芸などなど。動物を育てたい・しつけたいのであればこのように報酬を与えるという最善策なのかもしれませんが、私は人間を育てたいので報酬という『餌を与えて行動を促す』という手法はとりません。いつしか、報酬を催促したり、報酬をもらえなければ行動しなくなったり、全力を尽くさなくても報酬をもらえるのであれば手を抜いたり、怠けるからです。ですから、結果に対して報酬を与えることは子育てや教育ではそもそもやるべきではないと考え、ガラパゴールではそのような形はおすすめしませんし、実践しておりません。
私は高校入学後にまったく勉強をしなくなりました。理由は明白で勉強に対して報酬がなくなったからです。
(もちろん、労働などに応じた対価を得るのは当然ですが)長い年月を経て、報酬を「いただく」ことだけでなく、やりがいがあったり、達成感を得られたり、モチベーションがあがるようなことをより多く経験することが、自分の人生を豊かにすると気づきました。今では報酬を与える・与えられた時にしか喜びを感じられない人生はもったいないと思っています。
与えられた報酬にしか喜びを感じないような「動物」を育てたくありません。ですから、報酬ではなく、達成感やできる喜びを体験していただくことで、いわば多種多様な感情を抱くことを経験していただくことで「ひと」を育てたいと試行錯誤しております。
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2021年02月20日
報酬を与えて勉強させるのは大きな間違いです
posted by 五十嵐 at 18:14| ガラパゴールのこだわり